⑫いつまでも一緒にいる

 今日は小春日和で、午後2時頃、太陽の光が窓から差して寝ているボニーを照らしてきたので、久しぶりに庭に一緒に出たら、とても気持ち良さそうだった。真冬は寒くて昼間でも家の中で丸くなってるけど、今日のような暖かい陽光は、外に出ていっぱい浴びたくなる。それが自然なんだと思う。

 少し前にこのブログでも書いた、耳のガンの手術をしたボニーの親友の庭猫が回復して、いまは庭で母猫と仲良く暮らしている。ボニーが庭に出ると、にゃ、にゃ、と戯れてくる。ボニーは昔から、その庭猫が戯れてくるのを少し迷惑そうな顔をしながらも、大きな心で受け入れて、しばし穏やかな表情になって一緒に過ごす。ぼくは、そのうつくしすぎる風景を15年間与えてくれたボニーの優しさに、ずっと救われてきた。

 きょうはいい日だね、と声をかけて、ついうとうとしはじめたら、ボニーは足下にきて一緒にすこし眠った。


 昨日、池田晶子の犬についての本に触れたが、そのなかで、短歌(というか愛犬が亡くなったあとの挽歌)が数首収められていて、感慨深く読み返した。愛犬がいなくなってしまった世界と、愛犬と過ごした過去の世界が二重になっていく、とても切なくも心なごむ歌だ。


彼方よりわれを呼ばむか犬の声この夕暮れにひとりし居れば


 もしもボニーがいなくなっても、ひとりで夕暮れにウィスキーを片手にこのちいさな庭に出たら、きっとボニーは足元にやってくる。

 そう思えるほど、今日は穏やかな一日だった。


 束の間の春の風に包まれて
 黄金にかがやく老犬をいだく



  


 


コメント