老犬介護うた日記② 庭猫親子のこと

 10年くらい庭に住みついているボニーの親友のノラ猫の耳に癌ができたので、昨日、獣医さんに切除手術をしてもらった。無事に手術は終わり退院したけれども、抜糸できるまでのあいだ、患部を守るため首にエリザベス・カラーを巻き、2週間は外には出さないようにとのこと。大急ぎで屋根裏の物置になっていた一室を掃除して、ノラ用の部屋にした。

 ずっとおかあさん猫と一緒に庭で過ごしてきたから、引き離すのはかわいそうだと思い、おかあさんも一緒に部屋に入れたところ、最初こそ仲良さそうにしていたが、次第にお母さんは狭い場所にいるのが耐えられなくなり、ニャーニャーと鳴き喚きはじめ、ついにはわが子にパンチをくらわせた。

 仕方ないので、おかあさんを外に出したところ、今度は子どもの方が部屋にひとりでいるのがさみしいらしく、ニャーニャーと鳴き喚きはじめた。

 仕方ないので、おかあさんをまた部屋に連れてくると、子どもは鳴きやんで落ち着くが、お母さんがニャーニャーはじめる。それでまた、お母さんを外に出すと、子どもがニャーニャー。
 どうしたものかと、いま悩み中。

 ボニーはそんな猫問題なんか知らんぷりで、ずっとスヤスヤと寝ているのだが、トイレのために庭に出すと、外に出したおかあさんがボニーにスリスリと懐いてくるようになった。これまでは子どもの方がボニーに懐いていたのだが、いまは療養中なのでおかあさんが代わりにやってくる。なんでだろう。
 
 思うに、この頃すっかり衰えたボニーのことを、この猫親子はいつも心配そうに見守ってくれていた。ボニーがまだ3歳か4歳のころ、おかあさんと4匹の生まれたばかりの子猫たちがやってきて、ボニーとは庭でたくさん遊んできた。子猫たちは次第にいなくなり、いまは親子2匹になったけれども、ボニーのことを庭の主のように思っているようだ。だから、最近はぼくが横にいてハーネスで支えられなければ歩けなくなった主に「大丈夫ですか?」と挨拶にきている気がする。
 主はゆっくり芝の上を歩きながらやさしく「大丈夫だよ」と応え、おしっこをする。

 
 老う友と冬の芝生を踏みながら
 ひとつひとつの思い出を踏む






 




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