㉘犬の脳梗塞とは

 今日も暖かい一日。ボニーはまたすこし回復へと向かっている。首の傾斜はそのままだけれど、脳梗塞から五日目、目の輝き、笑顔がどんどん出てきて、かなり自由な自立歩行が部屋の中では可能になった。すごい生命力だ。

 脳梗塞というと、人間ならかなり重篤な病気というイメージだが、犬の場合はちょっと違うらしい。獣医の先生によると、厳密にはボニーは小脳梗塞で、それによって引き起こされるのが「前庭障害」。脳と耳の奥にある三半規管との間の神経伝達に異常が起こり、平衡感覚を失い、目が回りはじめ、世界がグルグル状態になって吐きまくり、ついに倒れてしまう。

 ところが、梗塞をしている小脳が、犬の場合、人間と違ってかなり回復力を持っているらしい。専門的なことは分からないけれど、それが人間との違いとボニーの先生は言っていた。ただもちろん、一発の小脳梗塞で死んでしまう犬もいるから、危険な病気であることは変わりない。近所でも1匹それで亡くなっている。

 ボニーの場合はかなりレアケースで、先生はさまざまな学会誌を調べてくれて、鹿児島大学の獣医学の症例報告を見つけてくれた。13歳のラブラドールが同じ病気で倒れたが、その後回復し、2年間犬生を全うしたというもの。

 とはいえ、ボニーのように15歳になってからの3度目の脳梗塞で回復してきているということに、先生はあからさまに表情には出さないまでも、驚いた目をしていた。おそらくこんな症例はないのではないかな、と思う。

  もしこれが奇跡であるなら、その恩寵はボニー自身の生きんとする力が引き寄せているのだと思う。ありがとう、ボニー。

 
 三度も倒れた犬の瞳からこぼれる光に満ちる命よ


 


 
 
 

 

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