④バギーを買って良かった

 今日も快晴。ちょっと寒い風が吹いていたけれども、のんびりとバギーに乗って散歩した。
 たぶんバギーがなければ、庭だけか、家の周り数メートルしか歩けないから、散歩とお友達とその飼い主との交流が大好きなボニーにとっては、計り知れないストレスに違いない。高かったけれどバギーを買ってよかった。

 バギーを買ったのは、実は一昨年の7月だった。脳梗塞で突然倒れ、あわてて買ったのだ。7月8日だったと思う。夕方に仕事から帰ったとき、いつもは元気に玄関に駆け寄ってくるボニーが、駆け寄ってはきたのだけれども、何度も嘔吐し、バタンとぼくの目の前で倒れた。
 これはただ事ではないと、かかりつけの獣医さんに電話したら、運悪く休診日だった。でも電話は繋がり、看護師さんが近くの獣医さんを紹介してくれて、そこにボニーを全力で抱えて車に乗せ連れて行った。なんとか命はとりとめたが、歩けなかった。

 次の日にいつもの獣医さんのクリニックに転院し、ほぼ3週間寝たきりの集中治療だった。入院直後は、しばらくすれば回復して元気になる可能性があると先生は診断したのだけれど、日に日に元気をなくしていき、先生もこのままだとまずいという話をしはじめ、もう亡くなるなら自宅に連れて帰ろうと決断した。
 そのとき高価だけどバギーを買った。寝たきりとなったボニーが少しでも外の空気を吸って、健やかに過ごせるようにと。

 そうして自宅に連れて帰った途端、今度は日に日に元気を取り戻し、ついには歩けるようになった。ぼくとずっと一緒に家にいることがやっぱり嬉しかったのだろう。
 買ったバギーはそのときからお蔵入りとなったけれども、去年の秋くらいから、筋肉が衰えてきて長距離を歩くことが難しくなり、バギーに乗るようになった。
 
 今日も夕方に近所の公園に行ってバギーから降りると、小学1、2年生の子どもたちが「ボニー、ボニー」と駆け寄ってたくさん撫でてくれた。尻尾をいっぱい振ってよろこんでいた。
 明日も晴れみたいだから、バギーに乗って公園に行こう。


 老う犬と夕焼けのなか遊ぶとき
 笑顔はむかしと変わらず溢れる






  


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