⑦ゆっくりゆっくり

 実は昨日のお昼にちょっと吐いて心配したけれども、今日は元気が良く、朝は近所の公園まで自分の足で歩いた。もちろんハーネスで支えられながらだけれど、元気で良かった。

 気分が乗らないと庭で用をたしてすぐに家に戻ろうとするが、今朝は歩きたい! という合図をしてた。その合図というのは単純で、門に向かっていって、笑顔でぼくの顔を見あげ、尻尾も揺らす。
 
 でも門から出ると、ゆっくりゆっくり、立ち止まりながら、歩いていく。若いころは5分で行けた公園も、いまは2、30分かかる。でもそれでいい。

 近所の人はみんな、がんばれ、と声をかけてくれ、頭を撫でてくれる。ボニーは人が大好きだから、それだけで尻尾を思いっきり振ってよろこぶ。それと、ときどきボニーの親友だったチョコラブの「チョコ」のお母さんと、黒毛の雑種の保護犬だった「ボブ」のお母さんがラジオ体操の帰りに一緒に歩いてきて会える時がある。むかし親友たちといっぱい公園を走り回った記憶があるから、飼い主のお母さんたちと会えるだけでもボニーは大喜びだ。そしてお母さんたちも、先立った愛犬との日々を思い出すようにボニーを可愛がってくれる。
 
 今日は寝坊して会えなかったけど、明日は早起きしよう。さすがにラジオ体操には間に合わなそうだけど、白い息を吐きながら、立ち止りながら、ゆっくりゆっくり、楽しかった思い出のみんなに会いにいこう。

 
 「がんばれ」と声かけられて尻尾ふり
 わが犬はきょうも歳をかさねる




 
 
 
 
  

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