㉕脳梗塞から二日経ち

 脳梗塞発作から二日経った。三度目で慣れているとはいえ、やはりかなりボニーにとってはダメージだ。少しずつ元気になっていると思うが、傾いた首のままなんとか立ち上がるのが精一杯。

 表情はまだ固いままだ。いつも笑顔いっぱいだったボニーとは別犬。でも声をかけながら体を撫でると、尻尾を揺らしてうれしい気持ちを示してくれる。そしてぼくが少しボニーの側から離れようとすると、不安そうな目でぼくを追いかける。

 さすがに24時間ずっと側にはいれないから、「すぐ戻る!」と言って外に出るしかない。ボニーはきっと分かってくれている。もどったときぼくを見て尻尾を振る。

 いまのボニーにとっての悩みは、首が傾いたままで御飯を食べるのがとても不自由なこと。ぼくがうまくフードの入ったボールをいい角度で口に添えてあげられない。ボニーが首を揺らすのに合わせて、なんとかあげようとするのだけれど、ボニーにとってのジャストポイントがなかなか見つからない。そうこうしているうちに、舌先でちょっとずつフードをボールから拾いながら、時間をかけて完食する。

 ボニーはいま、生きようとしている。トイレも「絶対に庭でする」と訴えるように、ぼくのところに首を振ってやってくる。

 だから、ぼくはいま生きている理由の全てを賭けて、ボニーを抱えて庭に出る。

 
 かなしみはいまはどこかに預けとくいまを君と生き抜くために






 

 

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