㉝老犬と立ち止まる時間

 今日は昨日より少し気温が低かったけれど、快晴で気持ちいい1日。ボニーも夕方前にJ公園で日光の下ゆっくりと過ごした。

 3時頃のJ公園は、幼稚園生や小学低学年生でいっぱいだ。ボニーを連れていくと、その中の数人は近寄ってきて声をかけてくれたり撫でてくれる。今日は特にいつも一緒に遊んでいる3人組の女の子が、ブレイブボードでぐるぐるとボニーの周りを上手に周り、「ボニー、ボニー」と声をかけてくれた。ボニーは尻尾を振って嬉しそうだった。

 3度目の脳梗塞の後遺症は、わずかに首の傾斜が残った程度だと思う。あとは視力が悪くなったのと、後ろ足がさらに弱って歩きだすとフラフラしてしまうことくらい。だから公園に行っても、少しだけ歩いておしっこをしたら、あとはずっと立ち竦んでいる。子どもたちがいっぱい走り回るなか、ニコニコした顔でずっと立ち竦んでいる。それだけでなんだか楽しいみたいだ。

 もう昔のボニーに戻れるわけではない。いま病後に、こうして一緒に賑やかな公園で立ち止まりつづけることが、かけがえのないひとときなんだと思う。

 3、40分くらい同じ場所でずっと立っていた。次第に夕陽が沈んでゆき、風が冷たく感じだした。するとさっきの3人組が「バイバイ! ボニー」と家に帰っていった。

 突然、がらんとなった夕闇の公園を、ボニーはようやく一歩、また一歩と歩き出した。

 
 夕暮れの公園に遊ぶ子どもらを眺める老犬の思いを握る





 


 


 
 

 
 

 

 

 
 

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