㉟犬の偉大さ

 最近は寝てばかりいるボニーだけれど、起きているときはいつも私を見ている。あるいは私がいないときには、いつも私を探している。少し離れた台所で料理をしていると、私が外に行ってしまったと勘違いして、玄関の前で座っていたりする。よしよし、と後ろから頭をなでると、振り向いて尻尾を振る。

  もし自分が犬だったら、と考えてみることがある。果たして、飼い主のことをずっと見つづけられるかどうか。果たして、飼い主が外出してしまったときは、大人しく寝ていられるかどうか。そして、もし自分が老いてうまく体が動かなくなってしまったとき、飼い主に何を訴えるのだろうか、などなど。その他にもいろんなシチュエーションを考えてみる。すると自ずとボニーがいかにすごいのかが分かってくる。

  犬は人間にはできないことを、いとも容易くしていると思う。「犬は従順な動物だ」と述べることはできるのだけれど、では私たちは誰に対して従順なのか、従順でいられるのかを考えると、決して単純に「犬は従順な動物だ」などと人間の立場から言い放てないように思う。

 今日、私を追いかけようとして何度もヨロヨロと転んでしまうボニーが、ずっと私に向けていた瞳を見て、そうだよね、と言い得ぬ感情が湧き上がってきた。

 
  立てずともずっと私を追いかけるその瞳あってぼくはいまある


  
(お昼過ぎの、まだ子どもたちがいないJ公園で)


 

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