㊱はじめて犬を飼ったとき

 今日はボニーの2週間に一度の獣医さんのところでのシャンプーの日。3回目の脳梗塞後は最初のシャンプーだった。無事にシャンプーはできた。先生曰く、体調は順調に回復しているとのこと。ただ筋肉が今回の脳梗塞後かなり弱ってしまい、これからは無理せずに過ごすようにと言っていた。どことなく先生が、「もうそんなに長くないからね」と言っているような、ちょっと悲しそうな表情を見せたように感じたが、ぼくの勝手な勘ぐりかな。

 ふと、15年前、生後3ヶ月でペットショップで買った幼いボニーを、家に連れて帰る前にまず先生のところに連れて行った日を思い出した。まだ丸々とした顔をしたちいさなボニーをはじめて両腕に抱えたときのことは忘れられない。でも先生はボニーを人目見て、これは痩せすぎだ、どんどん食べさせて太らせなきゃ、と言った。

 なんと! と急いで家に帰ってフードをあげた。はじめて犬にご飯をあげた瞬間だった。 ちいさなボニーはバクバク食べた。そしてすぐにはじめてのウンチをした……。

 すでにボニーが家に来るための準備はしていて、ハウスもトイレシートもしっかり揃えていたけれど、いきなりウンチをするとは予想だにせず、部屋中がいっきに臭くなり、和やかな気持ちで理想のペット生活を迎えようとしていた家族みんなが大騒ぎしたのを覚えている。まさにそれから15年、ずっと繰り広げられるボニー大騒動の、それが最初の一撃だった。

 今日はシャンプーから帰って、気持ち良さそうな笑顔を見せてくれた。そして筋肉が減ってしまったボニーは、立ち上がることなく、そのまま穏やかな顔をして眠った。

 
 春風に吹かれて香る老犬の幼い日々を思い微笑む


(シャンプーの後はいつもリボンをつけてくれるのです)

  
 

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