⑳まだ認知症ではないけれど……

 今日はちょっと怖いことが起きた。

 ふだんいつでもボニーが水を飲めるように、水を入れたボールをハウスの中の隅に置いておくのだけれども、今日はボニーがハウスの中で転んで、そのボールに顔半分入ったまま手足をバタバタとしているのを発見。すぐにボールをどかして起き上がらせたけれども、本人はかなり焦っていたようで、その後しばらく目を大きく見開いて動揺していた。
 
 「大丈夫、大丈夫」と言いながら、びしょびしょになった顔をタオルで拭いていたら、少しずつ落ち着いてきたが、ぼくもちょっと動揺した。まさか、そんな状態にボニーがなってしまうとは思わなかったからだ。

 ついこの間までは、たとえ転んだとしても自力ですぐに立ち上がれた。でもここのところ、どうも自分の体をうまくコントロールできず困惑していることが多い。目も悪くなってきていて、方向感覚もだいぶ衰えてきた。ぼくがちょっと庭に出ると、いつも玄関まですぐ追いかけてきて待っていたのだが、最近はぼーっとしていて、家に戻ると裏の勝手口でぼくを待っていたりする。

 老犬介護では、犬の認知症についても重要なポイントだ。ボニーはまだそこまでは行ってないけれど、かなり認知能力が衰えてきたのは確か。2年前に脳梗塞を二回発症して以来、獣医の先生に勧められて、脳に良いサプリをあげつづけているけれど、年齢には敵わない部分はあると思う。

 これからも驚くような事故があるかもしれない。今日のことがあって尚更、ずっと側にいようと思った。そしてできるだけ散歩していろんな人や犬、自然と触れ合いたい。今日もたくさんの子どもたちが公園でボニーを撫でにきてくれて、すっかり機嫌をよくしたみたいだ。
 
 我慢強い子だったけれど、いろいろとさみしい思いは増しているはずだ。孤独感が一番良くないともきく。ボニー、いつも側にいるぞ。


 少しずつ世界が閉じていくのかなと老いゆく犬に語る冬の夜

 






 
 


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