(55)老犬とたそがれる

 老犬介護で一番気になるのは、犬の病気がどのように進行しているのかをしっかり知ることだと思うが、ボニーの場合、あまりに多くの病気を抱えていて、正直どれがどのように進行しているのかこんがらがってしまう。

 3度目の脳梗塞から1ヶ月が過ぎ、こちらは安定しているのだけれど、脊椎変形が進んでいるのは、右後ろ足がいよいよ麻痺の段階に入っていることからわかる。脊椎変形とは何かと言えば、要するに加齢に伴い四肢神経の麻痺が起きているということ。いずれ歩けなくなるのだ。


 ぼくはいつも思う。なんでも出たとこ勝負で行くしかない。これからボニーがどうなるのかの不安は募るが、自分だってこの先どうなるのか分からない。せめてボニーが天寿を全うするまで、自分は今のまま生きようと思う。

 ボニーはそれを納得しているように、今日もたくさんの友達と触れ合い、「いまを生き」ていた!
 


 丘に立ち育った街を見下ろして
 春かぜ包むたそがれし友




コメント