㊽いつかまた一緒に走ろう

 冷たい風が吹くなか、O公園までバギーに乗せて行った。夕方は晴れていたから、大勢の犬たちがきていた。ボニーをバギーから降ろすと、みんなが寄ってきた。ボニーは嬉しそうに尻尾を振った。

 それからかれらは走り回って遊んだ。ボニーはしばらくかれらを眺めてから歩きはじめた。足が衰えてうまく歩けないから、止まっては歩き、止まっては歩きだ。それでも歩いた。

 あまり無理をさせてはいけないから、そろそろバギーに乗るよ、と準備をすると、ボニーは、まだ歩く、と言わんばかりに、バギーを避けて進もうとする。こんなとき、その意思を大事にしたいという思いと、あまり足を酷使するとどんどん悪くなるという心配の狭間でいつも迷う。でもボニーの意思を優先させて歩かせる。

 そのうち、後ろ足がぐにゃぐにゃに絡まって、なんとかハーネスで支えなければ立てなくなり、しばらく草の上で座らせて休ませた。

 ボニーは少しでも多く歩けたことが嬉しくてニコニコしていたけれど、こうした時間をあと何日過ごせるのだろうと、さみしさがこみ上げ、しばらく隣に座って、遠くで走り回る犬たちを眺めた。そのままゆっくりと夕陽は沈んだ。

 
 かたわらで眠りながら尻尾振る
 老いし友はいま野原を駆けゆく



 

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