(67)喪失からの道のり10.音楽のちから

  今日はずっと音楽を聴いていた。音楽はなぜこれほどに救ってくれるのだろう、と思いながら。

 ボニーが亡くなった日の夜、もう目を覚さないボニーの傍で、音楽をずっと聞いていた。まだ何が起きたのかよく分からず茫然としながら、やはり何が起きたかを噛みしめようと音楽を聞いていた。

 たとえば、ダニー・ハサウェイという1970年代の天才ソウルシンガーの曲。




 
 この人の音楽は魂の救済への想いが込められている。とても繊細で、早死したアーティストだけれども、ボニーが寝るときに何度も聴いていた。

 あとデイヴィッド・リンチの映画「ストレート・ストーリー」のサントラも流した。涙がこぼれた。




 リンチの映画の底流にあるロマンティシズムが大好きで、これもよく一緒に聴いたな。


それとこれも。深い悲しみの中で、こんな素晴らしい音楽に救われた。 





 ボニーは目を覚まさず、ずっとぼくの横でこんな音楽を聴いていた。あの日のそんなことを思い出して、今日も音楽をずっと聴いていた。



 夢見るのは晴れた日々のことだけで お前とともに風にながれる


  

 


 



  

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