(71)喪失からの道のり(14)さみしさとの付き合い方

 世の中が大変な事態になっているのに、自分の頭の中は沈んだままの状態から、ときどき浮き出たり、潜ったりを繰り返している。


 まだボニーの不在に慣れなくて困っている。余ったフードを毎日、「ご飯だよ」とボニーのお骨の前に置いてるけれども、なんだか、そういうことをしているとおかしくなってしまうのだろうか。

 父が後ろから「ばか、ボニーはそこにいないぞ!」とボケた声で叫ぶのだけれども、まだ気持ちが整理仕切れずこうしていたいという思いがあるから、そんな父への怒りはそれほど強くなく鎮まる。父が死んでも、これほどのボニーへの思いは抱かない。

 いまはさみしい、ただそれだけが募るから。


 海岸に立ちて波は軽やかにお前と走った足跡のびゆく
 


 
  
 

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