(72)喪失からの道のり15.夢とうつつの狭間で

 緊急事態宣言となったけれど、ぼくが住む横浜もその対象だ。最低限の必要な外出や移動は許されるから、近所の犬たちは普通に散歩できる。もしボニーが生きていたら、当然一日何度もバギーに乗せて歩くだろう。そして自分が新型コロナに感染し、隔離されてもいいように、思いっきり1日1日を生きるだろう。

 幸いというか、ボニーはぼくが隔離される前に旅立った。実はその辺をかなり意識していて、自分がいなくなったらボニーの介護をする人がいないのでぜったいに感染しないように注意していた。志村けんは愛犬を残して逝ってしまったらしい。とても切ない話だ。

 ネットニュースでは、緊急事態宣言後も、感染者は膨れ上がり、1ヶ月後には8万人に達すると首相は述べたようだ。

 あんまり絶望的になってはいけないけれど、ボニー亡き現世界はまるで黙示録の世界と思える。いつ死んでしまってもおかしくないし、生き残ったとしても、そこは元の世界ではないと思える。


 夢のなか君と雪原で遊びつつ うつつの世界は灰に帰しつつ




  (6年前の大雪の中で)

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