(82)喪失からの道のり25.こころの整理をはじめる

 実際的に、いまのコロナ禍の世界を生きていくのに必要なことは、ただ家にとどまることなのであるが、人間はどうしても活動しなければ気が済まないから、何か外に出てしまう。

 昨日、ボニーと旅に出る空想を書いたけれども、全国的に旅行は自粛ということだからやめておく。その代わり、ボニーと一緒に歩いた近所の道々をひとりで散歩し、あ、ここはボニーが好きだったベンチだな、ここはボニーが嫌いだった階段だな、と思いに耽るだけでもいい。

 あとは家で書き仕事と読書と、映画を観たり、音楽を聞いたり、筋トレをしたり、そうした日々が過ぎていく。

 そんな日常のなか、ゆっくりとボニーのものの片付けをはじめた。まだボニーの毛がいっぱい付いているハーネスやケージに敷いた毛布などなど。片付けているうちに、やっぱり涙が溢れてくるけれど、ゆっくりと整理して、自分の心のなかに一つ一つ納めていこうと思う。そろそろ次に進まないとボニーもいい加減に怒るからね。

 
 窓をあけ君の服を陽に照らし 溢れる思いを掌に寄せる




(去年の春、鵠沼海岸で)

  




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