(92)喪失からの道のり34.魂がひとつになるまで

 今夜もボニーにご飯をあげて、蝋燭ランプを灯した。そうした日々を過ごしながら、ゆっくりと、ぼくの体にボニーが入り込んできているのがわかる。変な言い方だけど、もうすぐ一緒になれそうな感覚。

 ぼくはスピリチュアルなこととか、非科学的なことを否定するけれども、ずっと一緒に過ごしたボニーの魂は、たしかに自分の中にある魂の一部なのだと思える。

 お昼に近所をすこし散歩したとき、とぼとぼと歩く老芝犬を連れた背の丸まった高齢の女性を見て、まるでミレーの絵のような、うつくしい風景だと思った。

 犬と生きる人間はなんて無限のやさしさとかなしみを湛えているのだろう。

 ボニーがぼくに与えてくれた宝物はあまりに大きすぎる。


 思い出せばすべて光を返してくれるお前のこころに今夜も眠る


 

(2年前、シャンプー後のGWの庭で)


 
 

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